地域力創造と地域おこしのヒント連続10時間講座in山梨

jichitaiforum2010-08-30

28日、29日の土日、表記の講座が、山梨県市町村総合事務組合(山梨県市町村職員研修所)の主催、総務省の共催で開催された。ので、様子をうかがいに行く。なんたって、椎川忍自治財政局長(http://blog.canpan.info/shimanetottori/archive/1721など)や、岡本全勝・自治大学校長(http://homepage3.nifty.com/zenshow/の8月28日の書き込み)と、両人の講演が聞けるなんて機会はめったにない。俳優菅原文太さん(山梨県で自ら農業を行うとともに、農業協力隊のリーダーを務める、昨年は25人の青年が、JAや農業法人に所属し、農業をしている http://blog.canpan.info/shimanetottori/archive/1724)や、29日は、国際日本文化研究センター安田喜憲先生の講演と、すごいメンバー。
 岡本氏は、以下のように話した。
日本はこれまでキャッチアップすべき欧米の見本があり、これを中央省庁の官僚が学び、通達と補助金交付税の仕組みを通じて、日本全国に普及した。世界一といってよい行政水準を全国均等に広げたことは誇ってよい。しかし、日本は世界一になってしまった。急速に進む高齢化社会など、日本を世界は注目している。
 これまでは、行政課題、地域課題は、自治体が考えなくても、中央省庁からの指示があり、それに従っていればよかった。しかし、これからは、地域で、これを考えなければならない。手本もない。下から解決の途をさぐるしかない。高齢者行方不明問題でも、厚労省は「調べましょう」というだろうが、それで解決することはない。地域の課題も、建物を作ることではなく、人間関係などに立ち入ることがふえ、補助金交付税をつけたから解決するような問題ではない。
 では、自治体がその能力と気概があるか。市場化テストなどで「官」は不戦敗ではないか。業務も、企画や計画づくりのものすら、コンサルに投げていないか。税金の徴収とか滞納整理などの権力業務は残るかもしれないが、刑務所すら民間が運営している例がおきている。
 このような時代であることを認識して、今の地域課題にどう向き合うのかが問われている。
 時系列的には、椎川氏のほうが前だったが、こう語っていた。
 地域主権の時代では、これまでのような、補助金を通じた情報の流れが変わる。一括交付金になると、情報はタテではなくヨコに流れる。これを生かして、地域課題を解決することが地域力だ。自分自身地域をまわって(懇親会でごあいさつすると、年度内の土日はすべてふさがっているらしい)実感することだが、各地で先進と言っていい取り組みがある。それを知らないだけだ。
 これまでは「地域活性化」と言っていた。人口が増えたり産業が盛んになったり。これからは、地域全体を経営する力、役所だけではなく地域全体の資源をいかして、結びつけて、解決していく。それには、「公務員力」とでもいうべき、役場の職員の蓄積がいきていく。申請書類の書き方なんか市民活動の人はわからないが、そういった能力だけではなかろう。
 しかし、今の公務員の、自治体行政の能力は必ずしも十全ではない。公務員が地域で活動しているか(佐賀県では、プラスワン運動といって、県庁職員がなにか一つでもいいから地域活動をするように指導している=県知事自ら消防団に志願している=でも現場では知事に命令もできないし、万一のことがあるとたいへんなので辞退したという)、人脈を広げているか。職場だけで飲んでいないか。自分が情報をだすことで情報や人は集まってくるのだが、ツイッターでもブログでも、発信しているだろうか。
 このように考える地方公務員がふえ、自治体が増えていくことが、この研修会の目的である。これまでは、東京(政策研究大学院)と関西(関西学院大学)で行ってきた。今回は山梨、今後、北海道(9月4、5日)、山形(10月)、高知(11月)、茨城(1月)、大分(2月)、宮崎で開催する。(発言紹介おわり)
 このような情報の交流と人材の交流は、これまで、「小さくても輝く自治体フォーラム」としても行ってきたし、恒常化したメリットもそこにある。同じ現状をみているかぎり、同じ志をもっていさえいれば(大変、僭越な物言いですが)、考えていることは同じになっていく。とすれば、私たちもこれに参加し、刺激をうけ、自らの取り組みを発表し、また学んでいく、ということが求められているのだろう。ということで、何回かにわけて、紹介します。